屋久島(島一周の巻・『10時』から『4時』まで)

時計で言うところの『10時』から『4時』まで、つまり島の残り半周であるが、このコースはあまり見所はなかった。

まず永田浜という浜辺があったが、強風にあおられて潮がとんでおり、とてもではないが見に行くどころではない。潮まみれでベトベトはイヤである。

その先、一湊には矢筈灯台があったが、そこは道路が途中までしかなく、そこから歩いて行けるかよくわからなかったのでパス。車をどんどん走らせる。
すると、『布引の滝公園』というのがあったので、ちょっと立ち寄り。

昨日の滝と比べると、少々ダイナミックさに欠ける滝だった。


この先は屋久島の繁華街、宮之浦となる。
商店が並んでいたが、天気も天気だったのでイマイチ活気もなく、うらぶれた感じだった。まぁ2月だしね、シーズンオフの離島だったらこんなものだろうとは思う。
ともかく昼時だったので、食事をすることに。観光マップでは『潮騒』という店を推していたので、そこに決めた。昼飯はトビウオ唐揚げ定食のお造りセットにて。推しているだけあって、中々の美味*1だった。

食後、また車で走ってあっという間に屋久島空港通過。
ここは『3時』の位置だから、このままでは大したものも見ないまま島の一周が完了してしまう。残念である。


無念ではあったが、他に行くところもなしでアッサリ安房帰着。時刻は13時前だった。前半は3時間半ほどを要したのに、後半は2時間も掛からず、しかも食事タイムを計上しての2時間だから、ほぼ車で走っていただけである。つまんねぇの。


特にこの後の予定もないし、折角だから走りついでに山に行ってみるかと、荒川林道を登ることにした。さっきまでどんより曇っていたのに、急に天気も回復して青空が覗いているし、ドライブ気分も盛り上がるってぇ具合だね。
雪で道路閉鎖とは聞いていたが、行けるとこまで行って後は引き返せばいいし。余った時間はおねむだ温泉がオレを待ってるぜ、とお気楽判断である。


で、登ってみたのだが、特に雪も無くズンズン進めるじゃ〜ないの。クネクネと道を登り、ついには終点のヤクスギランドまで行くことができた。コレはなぜ? 麓の、しかも観光案内所の情報とは違うじゃんか!
ヤクスギランドで話を聞いてみたところ、昨日の雨で雪が溶けたので、道路は今朝から開通した、とのこと。また園内も、朝の内に除雪作業をして、遊歩道は通れる状態にしたとのことだった。ただし、縄文杉のある登山コースはいまだに閉鎖中だそうだ。


ところでヤクスギランドとは、森の中に遊歩道のある散策路と、さらにトレッキングコースも設置して、割合手軽に屋久杉を見ることができる自然休養林のことである。30分・50分(これは遊歩道あり)・80分・150分(こちらはトレッキング用)の4コースが設定されていて、各自の気力体力に応じたミニハイキングが楽しめる。しかも世界遺産

ちなみに縄文杉は、ヤクスギランドとは別の場所にあり、こちらは本格登山を行わないと見ることはできない。


とは言え、だ。
今回は悪天候により縄文杉は不可能だったが、せめてもの屋久杉さんにはお目にかかれるワケで。言ってみればビッグネームの外タレが諸事情により日本公演をキャンセルしたが、代替としてそこそこネームの国内スターが公演を行ったと、オレは外タレのチケットを持っていたので、思わぬところでスターさんの公演を観ることができた、という感じだろうか。本命ではなかったが、まぁそれなりにウレシイかも的なヤツである。

で、500円にてヤクスギランド入場。雪がないという遊歩道の50分コースにチャレンジすることにした。

コースをしばらく歩くと、千年杉が登場した。手元のパンフレットには特に説明が無かったが、名前の通り多分樹齢1000年ほどだと思う。
1000年・・・、気の遠くなるような年月ではあるが、これでも屋久杉界の中では前座タレント的な存在なのだろう。


斜面はまだ雪が残っていたが、遊歩道には雪もなく快適に歩ける。コース上はたまに倒木があったりして、冒険心をそそるのだ。

倒木なのだが、ただの枯れ木ではない。この樹からまた新しい屋久杉が再生するので、撤去する必要はないとのこと。屋久杉の生命力、恐るべしである。


さらに歩くとコースの分かれ目に出た。発券所で言われたとおり、トレッキングコースには雪残りまくりである。

でも多数の足跡が付いているので、多分通行可能なんだろうと判断。モノはついでだからと予定変更で、80分・150分コースに乗りだした。


トレッキングコースは、まず橋で沢を渡る。橋の上から見た沢の水の美しいこと!

これぞ日本の森林美、と感動するのだ。

しかし、感動の後には苦難が待っていた。
トレッキングコースなどとしれっと書いてあったが、そこはある意味で登山コース。登っては下りの繰り返しで、少々キツい山道に変貌。さっきまでの楽々遊歩道コースとは天と地の差である、しかも足下は雪ぐしょぐしょ^^;
しばしヒィヒィ歩いて80分・150分コースの分かれ目に到着、150分コースの方は雪上の足跡がぐっと少なくなっていた。その上いきなりの急坂だ。
・・・みんな考えたことは同じなんだろうな、足跡あるからトレッキング行ってみよっと思って歩き出したが、ここまでの登り下りでギブしておとなしく80分コースを行ったんだろうな、多分。
オレもギブだよ、足下はトレッキングシューズだけど、それ以外の装備してないモン。


ってぇことで、しおしおと道を進み粛々と50分コースに再合流。
そこでは仏陀杉がオレを待っていた。

仏陀杉、樹齢1800年、このコースの中のスターである。
幹の左側にこぶがあるが、これが仏顔に見えるっぽいので『仏陀杉』の名が付いたそうだ。たまたまガイドツアーの方々がいて、そのガイドさんの話をオレもちゃっかり拝聴したのだな。
画像のこぶ、仏顔、あるいはせめて人面に見えるだろうか。オレには熊のように見える^^;


で、道を進むとくぐり杉に到着。

二股になっている下を遊歩道が通っている。作り込んだ感のある道である。
特に何も書いていないが、今までに見た杉の外観からして多分樹齢1200〜500年程度と値踏みした。誤差300年、普通であれば異常な数値だが、屋久杉にとっては許容範囲だと思う。


この先は、沢を渡ってから緩やかに登って散策コース完了。
とりあえずとは言え、年代物屋久杉の実物をいくつか見ることができたのでヨシ。ちなみに仏陀杉に勝る御大*2は、150分コースに挑戦しないとみること能わず、なのだった。


帰りのルートで見た宮之浦岳方面の景色、この中のどこかに縄文杉がある。
山はまた曇ってきた、屋久島の天気は変わりやすいと聞いていたが、これは本当だ。

待ってろよ、縄文杉。次は必ず会おうぜ(^^)


で、下山しておねむだ温泉に直行、相変わらずツルツル感絶大の湯はとても心地よかった。それにしても温泉、今日一日は大したことをしていないはずなのに、浸かるとどうして『達成感』に包まれるのだろう。


宿に戻り、山河湧水のボトルを冷蔵庫に格納、その後に夕食。
食後またおねむだ温泉に行き、火照った湯上がりに湧水を飲んでみた。


冷やしたやまんこ水は、とてもおいしかった。

(2018/02/11撮影)

*1:オレはマイルールにて、余程のことがない限り食事の写真は撮らないことにしている。なんかお店の人に対して失礼な気がするのだ。なので画像はなし。

*2:母子杉:2600年、小田杉:2500年などがあるらしい。