王たちの眠る場所(ロスキレ大聖堂@デンマーク・大聖堂にたどり着くまでの巻)

コペンハーゲンから20分ほど電車に乗った先に、ロスキレという街がある。ここに12世紀に建造された聖堂がある。
それがロスキレ大聖堂なのだが、何やら曰くありとの話なので、コペンハーゲン滞在中に、中央駅から電車に乗って見に行った。


コペンハーゲン中央駅は、かなり格調高い建物である。オレの好きな煉瓦造りだ。

駅正面、この向かい側にはチボリ公園*1がある。さすがデンマーク、自転車大国だけあって、駅前には自転車がわんさかあった(画像では見にくいが、ホントにわんさか。ちなみにこの写真はコペンハーゲン到着時に撮影したもので、これ以降の写真とは撮影日が違う)。
ここから電車に乗り込んだのだが、その電車というのがこんなん。

なんとも奇妙な外見である。まるでナマコのように見える^^; 最初見たときはマジでビックリしたのだ、なんでぶった切れてんのよ^^;;

運転席はちゃんとあるのだが、なぜ前面がゴムで囲われているのだろうか。
下部には連結器もあるから、連結した際の密着度を高めるためだろうとはとは思うのだが、それ以上の理由がどう考えても思い至ず、また密着度を高める必要性も見当たらないのである。色々考えた結果、『鉄道自殺があった場合には、このゴムのお陰で遺体の損傷が少なくなる可能性が高い』くらいしか思いつかなかった。
この理由をご存じの方がいたら、是非教えていただきたいと切に願う。


もちろんナマコ電車ばかりではなく、一般的な外見の電車もある。
右側の車両は空港とコペンハーゲンを結ぶ快速電車である。ナマコと一般的外見の電車が並列していたので、記念に撮った。

空港からコペンハーゲンに向かう際に利用したのがこの電車、つまりオレが初めて見たデンマークの電車がこの外見だったので、『デンマークではこんな電車が走っているんだぁ、日本とあまり変わらないなぁ』と思っていたところに、前述のナマコである。そりゃ驚くわな。

デンマーク国有鉄道の詳細を調べたわけでもないが、オレの乗車経験から考えるに、どうやらナマコは近郊通勤列車であり、一般的外見は国際列車らしい。
先に空港からコペンハーゲン間と書いたが、実際にはその鉄道は空港の先まで伸びており、海を渡ってスウェーデンへと通じている。ちなみに空港 → コペンハーゲンは約20分の近距離である。空港 → スウェーデンに関しては、乗車していないのでわからない。


で、これはナマコ電車内の様子。

外見はナマコであったが、路線に関する車内表示は完璧だった。


と。
ここまで鉄道に関する話ばかりになってしまったが、オレは別に『鉄オタ』ではない。
『外国』に行った場合に、そこで目にするものは、当然オレにとって初めてのモノばっかりになるが、その国に住む人にとっては当たり前の光景である。こうした点で鉄道やバスなどは、他所から来た者が出会うその国の第一歩であり、その国を知る取っかかりになると思うのだ。
どんな形状か、どんなサービスか、車内の様子はどうなのか、複数選択肢がある場合の差分は何なのか、日本との違いは何か、さらには乗っている人々はオレを見てどのような反応をするのか、逆にこの国の人々が日本に来たら彼らはどう感じるだろうか、その場にオレが居合わせたらオレはどう対応するだろうか・・・。こうした点は、非常にオレの興味をそそる。


話が少々逸れてしまった。
でもこれはこれでいいと思う。オレはこうしたことを考えるのが『だって好きだから』なのだ。興味を持つ、それについてアレコレ考える、それが『好き』の始まりである。



ともかく7:47発のナマコに乗って出発、乗り込んだのが快速電車だったようで、たったの4駅でロスキレ到着、所要時間はキッカリ20分だった。
この日は土曜日、しかも朝の早い時間にて駅前は閑散としていた。ツーリストインフォメーションが見当たらなかったので、勘を頼りに適当に歩いていたら10分もしないうちに旧市庁舎のある広場に着いた。
旧市庁舎は、現在では博物館、およびレストランとして営業中。

この広場ではマーケットも開催されるので、ちょうど皆さん準備中だった。売り物は定番のお土産や怪しいアンティーク系の他、自分が作った布製品(袋物や赤ちゃん用品)、野菜果物の農産物、魚や貝など海産物、ソーセージやハムなど肉製品、その他チーズ、バター、蜂蜜にパンに生花など、市場と言ってもいいくらいの品揃えだった。これを各自、車の前に店を広げて売っている。
半分準備中ながら、気の早い客が来店してあちこちで買い物をしていた。
オレ、実は市場好きで、国内海外問わず出先に市場があれば、必ず寄らないと気が済まない質なのである。とは言え今は先を急ぐ身、まずは大聖堂を見てからね、ってことで一時退散。


で、旧市庁舎の奥にロスキレ大聖堂があった。ここは本当にデカい聖堂だった。とにかく塔が高い。

聖堂の手前を横切る女性が写っているが、その身長と比較すれば高さがわかるでしょ?
海外の大聖堂もいくつか見てきたが、その中でも塔の高さは指折りクラスである。さすがはデンマーク王室の墓所なのだ。

教会の前半分でこんな具合、左手の低い尖塔の方にもまだ建物が続いている。デカい!
この前半分はゴシック様式で、13世紀以降の増築部分である。んで写っていない後ろ半分はロマネスク様式で本来の聖堂(12世紀)とのこと。


開扉は9時からだったので、まだしばらく時間があったから、港の方へと街を散策してみた。ロスキレの街は大雑把に分けると、鉄道より港側が旧市街となっている。

港から見たロスキレ大聖堂の遠景、2Kmほど離れているのにこの姿、やはりデカい。ってか、すごく目立つ!


旧市街側は落ち着いた雰囲気の家が多く、散策するにはもってこいの場所だった。しかしよく考えると、背の高い東洋人が一人でフラフラ歩いていたら、かなり違和感のある光景な気がする。そもそも観光地ではあっても、それは聖堂周りの話、この辺りは住宅地なのだしな。とりあえず今回、不審者通報はされなかったけど^^;

住宅街の一角に、草葺きの家々を発見。お店などではなく、明らかに住宅だった。
『おぉ〜! 藁葺きじゃん*2、海外にもあるんだ、こういう家〜っ!』とテンションやや上がり。なんだか童話の世界のオウチ、って感じである。

日本では今やかなり田舎の方か、あるいは古民家園的な博物館にでも行かないとお目にかかれない。でも日本での藁葺き民家は、なんだか野暮ったい雰囲気なのだが、これが西洋風となるとかなりカッコよく見えるのだな。壁材や屋根の角度、窓の配置などからして、見た目スッキリな家である。

それにしてもこの家、さすがにデンマークに稲はないだろうから藁葺きではなし、茅もなさそうだから茅葺きでもなし、では麦葺きなんだろうか。ちょっと知りたい気がする。
んでやはり、定期的に屋根の葺き替えもするのだろうか。


ってなモンで、大聖堂内部については次回。芸術的ではあったが、でもなんか・・・ちっとね〜^^; な聖堂であった。

(2015/09/15撮影)

*1:各種ガイドでは遊園地、となっている。確かに『遊園地』であって、それ以上でもそれ以下でもなかった。

*2:正確には藁ではないと思うけど^^;