戦うオネエさん(チョリータス・ルチャドラス@ラパス・華麗なるチョリータ登場の巻)

ラパス、と言って『あぁ、アソコね』と気付く人は少ないと思う。
ボリビアの首都*1なのだが、そもそも『ボリビアってドコ?』となるかも知れない。南米はペルーの下、チリの上にある内陸国である。近年、何かと話題の『ウユニ塩湖』がある国だ。


ラパスはアンデス山脈の真っ只中にある街だ。標高は3600mほど、富士山の山頂とほぼ同じくらいの所に100万近い人々が住んでいる。『マジかよ?』の世界である。

市街は盆地、と言うより『擂り鉢』の底に広がっているが、人口の増加はどんどん山に向かって行き、今では山の向こうまですべて家が建っている。画像の山腹が茶色いの、これは山肌ではなく家々、壮観である。


・・・などとお気楽なことを言ってはよろしくない。
山肌の家々はつまり、擂り鉢の底からはみ出ちゃった人々が住んでいるので、はっきり言うとスラム化している。この景観即ち、貧富の差が目に見える状況となる。

ちなみに山の上はエル・アルトと言う都市、ラパス空港*2があるのだが、非常に治安の悪い街として有名である。・・・まぁ、ラパスの治安の悪さも有名だが、さらにその上を行っちゃってる状態なのだ。


で、わざわざそんなエル・アルトに向かう。

ラパス 〜 エル・アルト間はタクシーやバスで結ばれているが、他にもロープウェイが運行している。治安の悪さに比例するかのように交通渋滞が激しいので、オレはロープウェイを利用、往復で6.0ボリビアーノ*3となる。
ロープウェイは次々にやってくるので、1台くらい乗り遅れても何の問題も無し。乗車中は遙かにアンデス山脈が望まれ、一方では真下に人々の暮らしが丸見えで、その対比にはかなりもの思うことの多いルートである。
ロープに遮られているが、雪を戴く山はイリマニ山(標高6439m)である。

で、途中に駅を一つはさみ、終点の山頂駅*4に到着。


駅の目の前にはマーケットが広がっている。ココ、通称が『泥棒市場』^^; 名称からして治安の悪さを物語っているのだな^^;;
『ラパス市内で盗難に遭っても、泥棒市場に来れば盗まれたモノが見つかる』・・・ってなところが名前の由来、もちろん盗難品が見つかったからと言って、無料で返してもらえるはずはない。怪しさを通り越して、全くもってケシカラン市場である。
しかもココはスリ・カッパライの横行地帯、『カメラは絶対に出さないこと!』が不文律だ。なのでスマホでさりげに撮影、サッと出して画面を確かめもせずピッと撮って即収納。

市場ではなぜか、昆布茶を売っていた。
日本の裏側に当たるボリビアの、しかも泥棒市場で昆布茶とは、まぁ! ・・・まさか盗品ではあるまいな?

それにしてもこの場所、標高が4000mを超えているので、歩いているだけで息がすぐに上がってしまう。一応はペルーから徐々に高度に慣れるような日程で移動してきたので、高山病までにはならなかったが、少々急ぎ足で歩いていると、軽く頭痛が起こるし。


ところで、何のためにこんな危険地帯まで来たかと言うと、コレっすね。

『チョリータス・ルチャドラス(Choritas le Chad las)』、『チョリータ』とはアンデスの民族衣装*5を着た女性のこと、で『ルチャ』は戦い、つまり直訳で『女の戦い』、チョリータによるプロレスショー、コレを見に来たのだな、わざわざ。
かなり以前、ナショナルジオグラフィックの記事で見て、なんともすご〜くワクワクして、機会があったら見てみたいモンだと思っていたのである。


50Bolの料金にて会場に入ると、そこにはすでにリングが設置されていた。熱い戦いの予感、である。

場内は階段席とリングサイドのイス席、ドコに座っても自由とのことで、ありがたくリングサイドの一番前に着席。ジックリ観戦させていただこうか、とオレも気合い満々なのだ(^^)


まずは男性によるプロレス対決。

さほど派手な技を繰り出すわけでもないのね〜、などと思っていたら、

プランチャ攻撃炸裂だぁ!
あくまで『ショー』がメインなので、徹底的な攻撃はしないものの、やはり見せ場は作るのだな。
それにしてもレスラーの皆さん、この酸素が薄い状況でよくあんな過激なことができるよね。


そうこうするうちに、オネェさん達の会場入り。

これは控え室に移動する前のワンシーン。どうやらこの会場、入り口が一つしかなくて、控え室に行くには会場を通り抜ける必要がある模様^^;
でも近くで見たチョリータ達は、割とキレイな人じゃんか。プロレスをやるからもっとゴツい感じかと思ってたんだけどね。

で、改めて舞台上から登場。音楽とリングアナウンスで会場も超盛り上がり(^^)

にこやかに拍手アピールで場内を一周、この際になにかちっちゃいモノを客席に投げていた。オレも運良くゲット〜っ!

ビーズで作ったサラマンダー。これはお土産として進呈とのことである、ラッキ〜♪

中には少々年季の入ったオネェさんもいたりして^^;


これからチョリータの熱い戦いの始まりだっ! その模様は次回にお届け、なのである。

(2017/06/18撮影)

*1:ボリビア憲法上では、首都はスクレ(Sucre)となっている。しかし行政府と立法府がラパス(La Paz)にあり、こちらが事実上の首都となっている。

*2:正式名称は『エル・アルト空港』

*3:ボリビアの通貨単位、以下Bolと略す。1Bol = 12円前後(2017時点)のレート。

*4:『Blue Line Cable Car station 16 De Julio』駅、やたら長いが『7月16日通り駅』ってこと。

*5:ペチコートを何枚も重ねて膨らんだスカートに長いショール、長い三つ編みを後ろに垂らして山高帽を被ったあの姿のことね。