宇和島城天守(重要文化財)

知られている話であるが、日本に現存している天守閣は12城しかない。多くは明治時代に破却され、いくつか残っていたものも戦火で失われてしまった。
これは非常に残念なことだと思う。

その後になって、天守閣の再建だの城郭の整備だのが行われているが、『御苦労なこった』とオレは思う。手間暇かけて壊したモノを、今度は巨額の資金をかけて作り直すというあたりに、胡散臭さを感じてしまう。
ましてや再建されたモノをまた壊し、再々建までする城もあるらしい。その理由は色々あるだろうが、最大の理由は『オカネ』の問題に帰着するんだろうな、と思っている。こうした城はオレの興味を惹かないのだ。いくら『建造当初の姿に』などと言ってみても、それは不可能なことである。失われたものを元通りに再現する力など、人間は持ち得ていない。


なので当時の姿で残された城は、オレにはとても魅力的に感じられる。
ましてや天守閣・・・、う〜んカッコいい! なのである。
もちろん『まるっきり建造当時』などはあり得ない、現役時代であっても補修・改修が行われたし、その後の文化財保護による修理も入っている。この点はオレも弁えているが、これは許容範囲である。


さて宇和島城

城山の頂上に天守閣が聳えている。
・・・しかし残っているのは天守のみ、である。塀や櫓、門などはすべて撤去*1、堀も埋め立てられてしまった。

とは言っても、もちろん石垣は残っている。
城山は小さい山ではあるが、やはり頂上まで登るのは少々キツい登り道だった。

ようやく本丸到着、天守閣がど〜ん(^^)
うんうん、やっぱカッコいい!

なぜかこの天守、正面から写真を撮ると小さく見えてしまうのだな。
周囲に比較対象となるような構造物が、何も無いせいだと思うけど。

背面にまわると、それなりに大きく写るのに。
ちなみに天守閣は北西が正面、したがって午前中に行くと逆光となる。

天守内も入場可能、料金はなんと破格の\200♪ この値段は滅多にない、宇和島市は案外太っ腹なのである。
外見は三重の天守は、内部も三階建てになっている。内障子が入っている点が、とても珍しいと思った。

宇和島城の絵図、当初はかなり整った威容だったことがわかるのだ。
しかも南面はすぐ下までが海、つまり『水城』で防御も完璧である。

ただし展示されているのはこの絵図と甲冑くらい、さして見所がないのが玉に瑕。

城山から見た宇和海、かつてはすぐそこまで海だったのに、埋め立てられて市街が広がっている。
宇和島の中心部は平地が少ないので、埋め立ては致し方ないところかも知れないが。

南登城口に残っている上り立ち門、唯一の現存門なのだが、扱いがかなり粗略な気がする^^; 工事看板なんぞ立て掛けられているし、しかも『トイレ改修工事』って^^;;
この門は現存遺構と言われているが、なぜか文化財指定が宇和島市止まりなのだ。なぜだろう、別の場所にあったものを移築したんだろうか? そのそもの登城口であれば、こんな小さな門ではないと思うし。


と言うことで宇和島城天守閣は中々ではあったが、それ以外の遺構がほぼなし。しかも堀が全くないので、なんだか寂しいお城だな、とそのように感じてしまった。
堀は城の威容を保つ上で、かなり重要ポイントなのだなと納得したのである。

(2016/02/11撮影)

*1:正確には追手門が残っていたが、戦災にて消失。あとは小さな門が一つだけ残っているが、これについては後述。