陶ヶ岳の釈迦涅槃像

早春の山口に行ってきた。
天気が安定しないこの時期は、晴れだったり雨だったり、時には雪に見舞われたりで、旅行するには中々大変なものがある*1。当日の横浜は大雨、羽田は小降り、飛行機が着いた先の山口宇部はどんよりと曇り。せっかくの旅行なのに、テンションが上がらないことおびただしい。しかも宇部は、ものすごく寒かった。


ともかく動き出さないことにはと、レンタカーを走らせてあちこちへ。そして向かった先の一つが、陶ヶ岳*2である。この山の頂上には、磨崖仏があるという。
事前のネット情報に依ると、40分ほどの山登りだとあった。とは言え標高230mとのことで、まぁ黙々と歩けば着くでしょと、さほど気に掛けてはいなかった。
・・・しかしオレは甘かった。以下反省点。


甘1:登山道は整備されているとの事前情報、これに誤りはなかった。しかし、前日まで数日来続いていた雨で、登山道が抉れているとは思ってもみなかった。しかも水がまだ少し流れていて、さながら小川状態、歩きにくいことこの上なし! まぁ雨が降れば山道は荒れるだろうよ。しかも3日ほど続いた雨降り後なら仕方あるまい。
甘2:標高230mは正しいのだろう。しかし、緩やかに登っていくのではなく、途中からかなり急峻な登りに変化する山だった。しかも最後の頂上ルートは、保護ロープを使っての急傾斜ムリクリよじ登りであった。マジかよ? まぁ落ち着いて考えれば、割合と海近くにある山での230mである。急な登りは止むを得まい。


ともかくトレッキングシューズで来たことが幸いし、何とか無事に頂上制覇、こんな眺めだった。登山口から25分、でもかなりしんどい25分である。しかも頂上、小雪が舞っていたし^^;

ちなみに登山道の写真は撮っていない。あまりに過酷なルートだったので、カメラを取り出す余裕なんぞなかったのである。情けないが仕方あるまい。


さて肝心の磨崖仏は、この頂上直下の岩場にあった。
特に標識などは出ていなかった*3が、頂上を回り込むようなルートが作られているので、ソコをたどれば到着する。

まずはこんなん。十六羅漢が岩に彫られていた。

入口側の羅漢像は、なんとか体部分が残っているが、さらに奥まった羅漢像は体が摩滅して顔だけ状態である。
ハッキリ言って気持ち悪い


さらにはこのような具合の羅漢像もあった。こちらは一体だけで彫られていたので、目つきの悪さも相まってキモさ倍増である。


・・・このように、オレ的に『ヘン』な部分が見つかるので、磨崖仏探訪はやめられないのである。


さて有終の美を飾る釈迦涅槃像は、最も奥まったところに彫られている。

涅槃像を拡大するとこうなる。

さすがはお釈迦様、きれいに彫られている。
脇侍の羅漢に比べても摩耗度合いが少ない。これはお釈迦様の力に依るものか、はたまた羅漢像を彫った人が少々手を抜いてしまったのか、それは謎である。オレは前者であると思いたいが、他の羅漢像の摩滅さを見てしまうと、後者への疑いが微かに湧いてしまうのを禁じ得ない。

それはさておき。
割合に小振りの磨崖像ではあったが、非常に満足した。で、残るは下山、ロープを伝っての急斜面*4下りである。
この時は自分の背の高さが非常に活躍した。だって背が高い分脚も長い、したがってリーチが届くから、スムーズに足場を辿れることになる。ココの下り、足場がかなり少ないのだ。
『背の低い人ってこういうときは大変だろうな、どうやって降りるんだろ?』などと不謹慎なことを考えつつ、普段はあまり役立たない高身長をありがたく思った*5


で、急傾斜を降りて一息。この部分は平坦地になっていて、ここからさっきまでいた岩場を見上げるとこんな具合である。

画面中央の岩が屹立しているところが磨崖仏、その奥が頂上部分、そして左下の葉の落ちている樹(多分、桜)の下辺りが登り口である。わかりにくいとは思うが、この画像からロープ登攀の急勾配加減を想像していただきたい。
あとはスタスタ下山し、登山口の駐車場に戻ったところでちょうど1時間、いろいろな意味で濃密な時間を過ごした。


参考までに陶ヶ岳の登山口駐車場は、下記リンクにて。駐車場に着くと、登山ルートのあらましが書かれている看板が設置されている。

陶ヶ岳登山口

お出かけの際は、足下の準備にはくれぐれも気を遣ってね。

(2018/03/09撮影)

*1:まずは着るものの手配、次いで雨具の準備。あと、飛行機内に傘を持ち込むのはイヤなので、自宅から駅までの移動手段。この日は大雨の隙間を縫って、小降りになった際に駅までダッシュにて。でも割と濡れちゃったけど。

*2:すえがたけ、である。オレもついつい、とうがたけ、と読んでしまうのだ。

*3:標識で思い出したが、頂上ルートへの道は2種類あるらしい。そこにあった標識には『どちらを選ぶかはあなたの運次第』的なことが書いてあった。

*4:ココの写真を撮っておけばよかったと、後悔しきりである。でもあの時は、そんな余裕すらなかったのである、マジで。斜面の状況を伝えてくれるサイトさんもあるので、よろしかったらググって欲しいところ。

*5:本当に役に立たないのである、高身長。この話だけでブログ一回分が書けるほど!