リマの猫

ペルーの首都リマ、ミラ・フローレス区に『Parque John F.Kennedy(ケネディ公園)』というこぢんまりした公園がある。
こぢんまりと言ってもそこはそれ、外国の公園であるからして、それなりにでかい。区画で言ったら2ブロック相当になるが、他の公園から比べるとこぢんまりのイメージとなってしまう。多くの公園が巨大すぎるのだ。


このケネディ公園へ行くには、"¿Dónde está Kennedy Park?(ケネディ公園はどこすか?)"と尋ねても、地元の皆さんにはあまり通用しない。なぜならもっとステキな別名があり、そちらの方が一般的になっているから。
その名は『Parque de Gato』、つまり猫公園だ。したがって"¿Dónde está el Parque de Gato?*1"と聞けば、にっこり笑って道を教えてもらえる*2


さてこの公園は、『猫公園』と言うだけあって、猫がたくさん住み着いている。猫好きのオレとしては、是非行かねばなるまい! ってな次第でリマ滞在中に行ってみた。


公園入り口で、早速のお出迎えである。"Bueno, vamos.(よく来たにゃ)"って言っている、多分。

公園内の猫はいわゆる『地域猫』、猫好きの皆さんから食事と水を与えられて暮らしている。

こんな具合に、あちこちに水とキャットフードが置かれている。公園でくつろぐ人たちも、猫がいるのが当たり前となっている。
基本的には大事にされているので、猫たちも人なつこく、呼べば寄ってくる。

"Vamo〜s(おいでおいで〜♪)*3" "Espera un minuto,ya voy.(ちょっと待て、今いくにゃ)"と言いながらこっちに来た、多分。


中には怪我をしているコもいるが、たくましく生きている。目をやられてしまっているが、このコはとてもなつっこかった。オレを先導して、公園内をあちこち案内してくれた。もちろん、合間合間にスリスリの特典付きで^^


猫公園では、猫たちが自由にくつろいでおり、それを訪れた人々が適度に楽しんでいる。本当はもっとたくさんの猫がいたのだが、他の方々とのスキンシップに勤しんでいたのでオレは遠慮。だってねぇ、みんな猫と触れあいたくて、この公園に来ているんだからさ、そこに割り込んでは悪い。


と、このように猫公園、猫たちと猫好きたちのオアシスのような場所であるが、後でホテルスタッフに教えて貰った話では、中々に難しい側面もあるらしい。彼の話に依れば、

  • 自宅で面倒を見切れなくなった猫、あるいは望まず生まれてしまった子猫を捨てに来る人が後を絶たない。
  • 猫たちは基本的に公園外に出ることはないが、小さな公園なのでシモの臭い*4が問題になっている。
  • 食べ残しのキャットフードなども、悪臭の原因となっている。
  • こうしたことから、猫嫌いの人々から目の敵にされている。
  • 公園で生まれた子猫を、ゴミ袋に詰めて強制的に始末(!)する人もいた。
  • それでも最近では、観光客の集まるスポットになってきたので、それ目当ての売店による収入源ともなっている。
  • 猫公園目当てにミラ・フローレスのホテルを選ぶ人もいるから、とてもありがたい存在である。
  • 猫はかわいいし、我々にも生活があるし、でも衛生面や猫嫌いからすると問題でもあるし・・・

と言うことらしい。
"¿Te gustan los gatos?(キミは猫が好き?)"と尋ねたら、"Claro!(もちろん!)"と応えた彼にとっても、そして猫を愛するリマの人々にとっても、簡単には答えを出せない部分がある。
そして当然ではあるが、一時滞在の観光客であるオレには、意見を述べる資格などないのだった。


それでも猫は、Parque de Gatoで優雅に生きている。この子は、花に寄ってきた蝶にじゃれかかっているところ。

がんばれよ、リマの猫。

(2017/06/06撮影)

*1:ちなみにオレのスペイン語は、耳で覚えたものなので、文法的にはかなりいい加減だと思う。

*2:"Cat Park"でも一応は通じるよ。

*3:猫とは言え、一応はスペイン語で語りかけるのである。

*4:猫ねぇ、あんなにかわいいのに強烈なんだよね、シモの悪臭。