ドラクエの城(オラヴィンリンナ@フィンランド)・後編

前回からの続きで、オラヴィンリンナの内部について。


ツアー参加者の6名は国籍がまちまちだったので、ガイドさんは英語・フランス語・フィンランド語にてツアーを進行、最初はすげぇ! と思ったが、後々面倒なことが判明。なぜなら三カ国語で同じ説明を繰り返すので、中々先に進まないのだ。ちなみにこの方は、非常に聞き取りやすい英語で話す女性だった。
まずは入り口からすぐのホール、そして隣接する礼拝堂から始まって、徐々に内部へと進んでいった。

階段を上り、城壁内側にある通路を渡っていく。
この通路からは、城壁内部の部屋を結ぶ外廊下が見下ろせる。

室内から外廊下への出入り口は、一見窓のような造りとなっていて、敵が侵入してきた場合でも見つからないような工夫がされている、とのこと。
うむ、ダンジョン的である。ドラクエに一歩近づいた感がする。


続いて第一塔に進入。

これは何?
ここだけ不自然に木枠がはめられており、その中央に穴。オマケに蓋が付いている。
そうご明察、これはトイレである。排泄物は外に垂れ流しなのだ^^; それにしても穴が少々小さいような気もするが、昔の人はこの程度の穴で用が足りたのだろうか、謎である。

トイレの外観はこんな具合。塔の中程、左側の小さな出っ張り部分がトイレに当たる。
写真では判然としないがトイレの真下は湖、垂れ流しとは言ってもある意味では水洗である。機能的な気もするが、真冬に湖面が凍った場合はどうなるのだろう。あまり考えたくない光景が出現すると思う。
それにしてもホンモノのドラクエ城には、トイレなどなかったような気がする。この点は現実と仮想の差である。


これは第一塔と第二塔をつなぐ廊下、ちょうど第一塔の出口部分に当たる。
ガイドさんの話では、ここに幽霊が出る、と言う。古城に幽霊、よくある組み合わせであるが、『夜、外から見た時に、誰もいないはずのこの廊下を、灯りが行ったり来たりする。時には人影がこの窓から覗いている』とのこと。ビミョ〜に胡散臭い話である^^;
なのでオレ、思わず"Really?"と聞き返してしまったら、「オラヴィンリンナのゴーストはとても有名な話で、何人も目撃者がいるのよ。あなたも夜に見に来ればわかるわ」だって。うん、だからさ、『そういうあなたは見たの?』とツッコミたいのは山々なんだよね。とりあえず"Oh,scared."とだけ返しておいた。


さてここは第二塔の最上部、特に何もないガランとした空間だった。もちろん宝箱などは置かれていなかった。

と思いきや、なんと隠し階段が出現。ダンジョン度、またちっと上昇である(^^)


んで、次はどこ見せてくれるの? と期待していたのだが、これにてガイドツアーはおしまいであった。もう一つの塔が残っているのに、案外アッサリ終わるのね、8ユーロだとそんなモンなんすかね。
あるいはガイドさんが、三カ国語で同じ話を繰り返し説明するのにウンザリしてしまったのかも知れない。だって当初の話では、『ガイドツアーは1時間』と言っていたのに、正味のツアー時間は40分少々だったし。もしかしてオレ、フィンランドの片田舎でボラれたのだろうか?


さてこの城、地下室はなかった。正確にはホールの真下に半地下的な部屋があるそうだが、そこは倉庫とのこと。元々が岩むき出しの島なので、地下室を造るのは困難だったからだろうとガイドさんは言っていた。
地下ダンジョンがないのでは、ドラクエ城とは言えないと思う。


「後は中庭や屋外を好きに見ていていいですよ〜」と体よくガイド*1に追い払われ、内部見学は終了。もしや庭方面になんかあるかもと思い、あちこちを探検してみた。

中庭の最奥部には水路が造られていて、『そう言やドラクエ、こんな城あったよね〜、どのシリーズだったけ?』と思いつつ、そうきたら行き着く先は当然こうなるだろうと城壁の外に出てみると、

やはりあった、ボートの出入り口だね(^^)


他には別に、隠し階段や隠し扉があるわけでもなく、石壁でズズ〜っと囲まれているだけのいたって普通の城だった。
・・・まぁ、初見のしかも旅行者がアッサリと隠し扉を見つけられるわけない、とも思うけど。

と言うことでオラヴィンリンナ、ドラクエ城のモデルかと言われると『強いて言えばそうかもね〜』ぐらいの感想となる。この噂の出所は、一体どこなのだろうか? ウワサはいつも、当てにならないものだな。

とりあえず『ドラクエ城』という先入観を差し引いて、中世の城という点では中々に興味深いところだった。そもそもフィンランド、他にオレの興味を引くような観光地も大して無いし。


ところでどちらかと言うと、オレが興味を持ったのは城よりこっちである。

城のすぐ上手にある鉄道線路橋、ここは人道橋も兼ねているが、オラヴィンリンナ入り口の橋と同様に、こちらも船が通過できる仕組みになっていたのだ。写真手前の橋の切れ目に沿って、橋自体がグィ〜ンと持ち上がる仕様になっている*2
船が通らないかな〜としばらく待っていたが、ちょうど通りかかったオニィちゃんに「船は朝しか通りませんよ」と教えて貰ったので断念。こっちこそ見たかったと今でも思っている。


なお、城内ツアー時に同時購入した博物館チケットについてであるが。
もちろん行ってきた。でもそこは『博物館』ではなく、『郷土資料館』だった。"Museum*3"って言っていたのにぃ!

展示物は石器時代の出土品やら、湖の生物、あるいは湖での漁具や昔のボートなど。こんなん、世界中どこに行っても似たようなモンだっつーの、わざわざフィンランドまで来て見たくもないわい!
肝心の城関係の展示は皆無、なので残念感をもって風のように通り過ぎたオレだった。せめてもの救いは、料金1ユーロという点だけなのだ。


こうした具合で、15:30サヴォンリンナ発のローカル線にまた乗って、パリッカラ経由にてヘルシンキに20時ちょい前の到着。
丸一日がかりのドラクエ城検証は、確証を得ることはできなかった。けれど、いろんな意味で『人生の深み』という点において、経験値が上がったと思っている。

(2015/09/26撮影)

*1:この時点でなんだかビジネスライクに扱われたので、もはや尊称は付けないのである。

*2:写真奥、トラス橋の手前にも切れ目がある。よって片側だけが持ち上がる仕組みではない。橋の一部が持ち上がるのだ。

*3:" Local museum"と言われれば、オレもチケットを購入しなかった。